リスト:交響詩「前奏曲」/メンゲルベルク指揮/アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団 1929年 [メンゲルベルク]
(EMI:CDH 7 69956 2)
録音は古いけれど、この独特な解釈は、他の指揮者では聴けない演奏。
弦楽器群の弦を滑らせるポルタメント奏法、急激なリタルダンド、メリハリ効いた管楽器、それらが絶妙なバランスで構成されています。
悪く言うと、やりたい放題ともいえますね。
これがリストが生きていた前世紀の演奏スタイルなのかな?と思ったりします。
CD初出のEMI盤は、擬似ステレオ化で効きやすい反面、音がボケ気味?
NAXSOS盤は、ノイズ除去されて、音の鮮度がいまいちな気もしますが、値段相応ということで納得できるとことでしょうか。
(NAXOS:8.110853)
NAXOS盤での、収録順は最後の9トラック目であり、個性的な演奏が続いた後の締めの1曲になっています。
2002年の発売なので、まだ中古であれば500円くらいで入手できるのではと思います。
あと、1922年のニューヨークフィルとの録音も残されていて、比較することができます。
(Biddulph:WHL025/026)
ニューヨークフィルの設立に尽力したメンゲルベルクが、設立間もない同オケと録音した記録という意味でも貴重な録音かなと思います。
演奏の個性度は、1929年よりも上回っていますが、音質的にはちょっと厳しいですね。
シューベルト:交響曲第9番「グレイト」/クナッパーツブッシュ指揮/ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 1957年ライヴ [クナッパーツブッシュ]
(DG:435 328-2)
1957年10月27日ウィーン楽友協会大ホールでのライヴ。
登場の拍手から収録されていますが、拍手が止まらないうちに、演奏が開始され、拍手に交じって第1楽章冒頭のホルンが聞こえてくる・・・。
そっけなく始まったかと思えば、テンポ変化や音の強弱で、クナ節を刻み込みながら音楽を作り上げていく。
この演奏を初めて聴いた時に驚いたのは、第3楽章の7分過ぎあたりの休止。突然、音が止まり、静寂が広がる。まるでブルックナー休止のような。
これは、クナッパーツブッシュだからこそ許された演奏なのでしょうね。
第4楽章では、急激なリタルダンドなどテンポの変化が凄まじく、こんなに抑揚のある解釈は、他の指揮者では、聴いたことがない。
とても個性的な解釈の演奏なので、聴く人により好き嫌いが分かれるかと思いますが、個人的には、ウィーンフィルと作り上げた白熱ライヴの記録という意味でも、好きな録音です。
録音は、適度な残響で鮮明な音が収録されており、鑑賞用のライヴ録音としては、ベストの部類に入ると思います。